eGFRプロットシートを用いた腎機能保護の取り組み
- ishigami-clinic149
- 9月29日
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更新日:11月15日

eGFRプロットシートの一例です。治療介入(青い四角)により腎機能の低下が抑制されています。
腎機能は健康な人でも歳を重ねるにつれ年々低下していきます。腎機能を評価する検査値として、血清クレアチニン(Cr)、血清尿素窒素(BUN)、推定糸球体濾過量(eGFR)が外来診療で用いられています。今回は推算糸球体濾過量(eGFR)とeGFRプロットシートと通して当院の診療をご説明いたします。
若くて健康な頃(20歳代)の推算糸球体濾過量(eGFR)は100 mL/分/1.73m2前後、60 mL/分/1.73m2を下回ると腎機能が軽度低下し始めている、10 mL/分/1.73m2で血液透析直前レベルと大まかに理解されるといいと思います。
10年間で2回以上健診を受診した日本人のデータによれば、40歳以上のeGFRの低下速度は年平均で-0.36 mL/分/1.73m2/年で、性別による大きな差異はありません1)。高血圧症、糖尿病や慢性腎臓病があるとeGFRの低下率はさらに高まります。熊本医療センター腎臓内科梶原先生から頂いた講演会資料によれば、eGFRの低下速度は1年当たり-1.0 mL/分/1.73m2未満が無難で、-2.0 mL/分/1.73m2以上は要注意と思われます。

熊本医療センター腎臓内科梶原先生から頂いた講演会資料
近年、糖尿病から腎機能を保護する/腎機能低下を抑制する薬剤として、従来からのACE阻害薬/アンジオテンシンII受容体拮抗薬に新たに3つの薬剤が加わり4本柱(four pillars)あるいはfantastic four for kidneysとして注目されています2)。これまでもeGFR値の変化に注意しながら日頃の診療をおこなっていました。最近、製薬会社の医薬情報担当の方から京都府医師会がeGFRの推移をeGFRプロットシートとしてグラフとして見ることができるツールを提供していると教えていただきました3)。検査値を一つ一つエクセルに入力する手間はかかりますが、これを使用すると腎機能の推移が明確に把握することができ診療に大いに役立っています。薬剤の増減や変更により腎機能の低下率が大きくなったり改善したりすることが手に取るように把握でき、腎機能保護を考慮した薬剤処方に関してより的確な判断が可能となったと思います。頭初のグラフは当院でのeGFRプロットシートの一例で、治療介入(青い四角)により腎機能の低下が抑制されています。
2) chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.jmedj.co.jp/files/premium_blog/dktd/dktd_sample.pdf





