帯状疱疹について

今回は「帯状疱疹」についてですが、本題に入る前にちょっとした1つの余談から始めてみます。
1. 帯状疱疹になりにくいのは誰?
突然ですが、ここで頭の体操です。
花屋さん
八百屋さん
幼稚園の先生
中学校の生物の先生
この中で、“一番帯状疱疹になりにくい”のは誰でしょう?これはなぞなぞではなく、医学的な理由に基づいています。答えはこの先の本文中に登場しますので、ぜひ予想しながら読み進めてみてください。
それでは、ここからいよいよ帯状疱疹の本題に入ります。
[帯状疱疹とは?原因・発症率・再発のリスク]
1. 帯状疱疹はどんな病気?
⇨ 帯状疱疹とは子どもの頃に「水ぼうそう(水痘)」に罹ったことかある人がなる病気です。水ぼうそうが治った後も水ぼうそうの原因ウイルスである水痘帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus;VZV)は体内の知覚神経節に潜み続けます。このウイルス(VZV)が原因で、知覚神経に沿って痛みや水ぶくれを伴う発疹が現れる病気です。
2, 発症のきっかけ:
⇨ 加齢、疲労、過度なストレス、免疫力の低下などが引き金となり、ウイルスが再び活性化することで発症します。
3. どれくらいの人が帯状疱疹になるの?
⇨ 日本の疫学調査において、帯状疱疹の発症率は「80歳までに約3人に1人」と推定されています。今後、この割合は増えていくと予想されています。発症率は50歳代から急激に上昇し、70歳代でピークを迎えます。

4. 若者は帯状疱疹にならないの?
⇨ 20代〜40代の比較的若い世代の発症率は低いものの、全体の約3割を占めており、小児での発症も見られます。
5. 帯状疱疹後神経痛:
⇨ 帯状疱疹になることで一番厄介なのはこれかもしれません。帯状疱疹による皮疹が治った後でも、帯状疱疹による痛みや神経痛が数ヶ月〜数年以上に渡って続く病態が帯状疱疹後神経痛です。時にこの痛みはとてもひどい場合があります。国内の代表的な大規模疫学調査(SHEZスタディなど)によると、帯状疱疹に罹った人の約20%(5人に1人)がなると言われています。またこの割合は年齢とともに著しく上昇することが分かっています。
6. 子供の頃に水ぼうそうに罹っていない人は帯状疱疹にならない?
⇨ その代わりに、水ぼうそうの子供や帯状疱疹の人と接することで成人発症の水ぼうそう(水痘)になります。成人になって水ぼうそう(水痘)に罹るととても重症化することがあり、入院を要します。私も今までに2人成人発症の水ぼうそう(水痘)をみたことがありますが、ものすごくきつそうでした。子供の時に水ぼうそう(水痘)に罹ったことがない人はワクチンをする必要があります。
7. 「一番帯状疱疹になりにくい」のは誰でしょうかの答え合わせ
⇨ 答えは幼稚園の先生です。2014年10月に水痘ワクチンが定期接種化される前の日本では、90%〜95%以上(ほぼ100%)が子どもの頃(10歳未満)に水ぼうそう(水痘)に罹ります。2014年以前は周囲に水ぼうそうを発症する子どもがたくさんいて、水ぼうそうの子供と接した大人は水痘帯状疱疹ウイルスに暴露する結果となり、体内の免疫が刺激されて強くなる「ブースター効果(追加免疫)」のために帯状疱疹が抑えられます。幼稚園の先生は日頃から水ぼうそうになった園児さんと接することで「ブースター効果(追加免疫)」が得られやすい職種と考えられます。これに対して2014年10月以降は子どものワクチン普及によって水ぼうそうが激減した結果、大人が水痘帯状疱疹ウイルスに触れる機会(ブースター効果)が少なくなり、帯状疱疹が増加することが予想されています。実際、疫学調査(宮崎スタディなど)によると、帯状疱疹の発症率はここ20〜30年で約1.5倍〜1.8倍に増加しています。「幼稚園の先生は帯状疱疹になりにくい」という話も、今や過去のものになりつつあります。今後も帯状疱疹の罹患者が増加していくと予想される現代において、自ら免疫をつけるための「帯状疱疹ワクチン」への期待と重要性がますます高まっていくと思われます。
8. 帯状疱疹は一度か罹ったら、2度とならないの?「再発のリスク」
⇨ そうではありません。帯状疱疹は「一生に一度だけ」と言われることもありますが、実際には約1%〜6.4%の割合で再発しています。
(a) 再発率のデータ: 宮崎スタディの調査では、6.41%の人で再発が認められました。性別で見ると男性 4.73 %、女性 7.63 %と、女性の方が高い傾向にあります。
(b) 再発する時期: 最初の帯状疱疹発症から「3年〜11年」の間に多くピークがあり、平均期間は約13.7年と報告されています。
(c) 再発の期間が短くなるリスク要因:
o がんの治療中
o 免疫抑制薬やステロイドを使用している方
o 糖尿病などで免疫力が低下している方

最後まで、読んでいただきありがとうございました。
同時にアップしました帯状疱疹ワクチンも見ていただければと思います。





