高尿酸血症 — 当院の取り組み
[尿酸が溜まる仕組み(病型分類)]
健康な体では、毎日約700mgの尿酸が作られたり食事から摂取されたりしています。そのうち500mgが腎臓から、200mgが消化管から排泄され、通常は尿酸値 5.0 mg/dL 前後でバランスが保たれています。
このバランスが崩れて高尿酸血症になる原因は、主に以下の3つのタイプ(病型)に分類されます。
① 排泄低下型(全体の約6割)腎臓からの尿酸を出す機能が低下し、体外にうまく排泄できないタイプです。
② 混合型(全体の約3割)「排泄低下」と「産生過剰」の両方が関係しているタイプです。
③ 産生過剰型(全体の約1割)体内で尿酸が作られすぎたり、食事からプリン体を多く摂りすぎたりするタイプです。(※近年、この中には消化管からの排泄が低下した「腎外排泄低下型」も含まれることが分かってきましたが、従来の産生過剰型として治療を進めても大きな問題はありません)
🏥 当院での検査・診断の強み
当院では、患者様がどのタイプ(病型)に該当するかを的確に検査・診断し、原因に合わせた最適なお薬を選択しています。
💡 面倒でない「随時尿」での検査の取り組み
本来、病型を正しく分類するためには、以下の2つの検査値が必要です。
① 1日尿酸産生量
② 尿酸クリアランス
簡易検査として
③ 尿中尿酸/クレアチニン比 があります。
尿酸の排泄には日中(8〜10時)と夜間(22〜24時)にピークがあるため、正確な数値を出すには「1日中尿をためる(1日蓄尿)」という、患者様にとって面倒な方法が必要でした。
【当クリニックの取り組み】
当クリニックでは随時尿から1日食塩摂取量を算出するときの手法(日本高血圧学会):尿中クレアチニン(内因性マーカー)と24時間尿クレアチニン排泄予測値を利用することで、随時尿と血清検査値から①と②も算出して診療に役立てています。
患者様にお渡ししている検査データ表をお示しします。
排泄低下型の患者様のデータ

過剰産生型の患者様のデータ

[当クリニックにおける治療薬選択の基準]
高尿酸血症の治療薬は、患者様の病態タイプ(病型)に合わせて薬剤を選択しております。
1. 「排泄低下型」の患者様へのアプローチ
体外へ尿酸をうまく排泄できないタイプの方には、選択的尿酸再吸着阻害薬(SURI)を第一選択としています。
【主な処方薬】
ユリス®(一般名:ドチヌラド)
【ユリス®の特徴と選択理由】
高い安全性と内服のしやすさ
尿細管にある尿酸再吸収タンパク「URAT1」を選択的に阻害し、尿中への尿酸排泄を促します。
腎臓への負担を軽減
従来の排泄促進薬(ユリノーム®など)とは異なり、消化管にある尿酸排泄タンパク(ABCG2)を阻害しないため、腸管からの尿酸排泄機能が保たれ、腎臓へ過剰な負担がかかりにくいのが特徴です。
尿アルカリ薬の併用を減らせるメリット
尿中へ急激に尿酸が排泄されにくいため、尿路結石を予防するための「尿アルカリ化薬」の併用が必ずしも必要ではなく、飲むお薬の数を減らすことができます。
💡 最近の注目データユリス®の服用により、腎機能の低下(年当たりのeGFR低下スピード)を抑制したという良好な研究結果が報告されています。

2. 「産生過剰型」および「混合型」の患者様へのアプローチ
体内で尿酸が作られすぎているタイプ、あるいは排泄低下と産生過剰が混ざっているタイプの方には、尿酸生成抑制薬(キサンチンオキシダーゼ阻害薬)を処方しています。
【主な処方薬】
フェブリク®(一般名:フェブキソスタット)
ウリアデック® / トピロリック®(一般名:トピロキスタット)
【これらの薬剤の特徴と選択理由】
ピンポイントな阻害作用(非プリン型)
尿酸合成酵素である「キサンチンオキシダーゼ」を選択的に阻害し、効率よく尿酸の生成を抑えます。
腎機能が低下していても使いやすい
フェブリク®: 胆汁と尿からバランスよく排泄される「ハイブリッド排泄」
ウリアデック® / トピロリック®: 主に肝臓で代謝され、糞や尿に排泄
どちらも腎臓だけに排泄を依存しないため、軽度〜中等度の腎機能低下がある患者様にも安全かつ使いやすいお薬です。
💡 最近の注目データ糖尿病腎症を合併した患者様に対して、高用量(1日160mg)のウリアデック® / トピロリック®を処方した群において、腎臓への負担の指標である「尿アルブミン(尿蛋白)の排出量」が有意に減少したことが示されています。






