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帯状疱疹ワクチン

ishigami-clinic149
10月11日
読了時間: 4分

令和8年度「帯状疱疹予防接種」の費用助成のお知らせが郵送されてきた方から帯状疱疹ワクチンのお問合せを頂くことが多くなりました。今回は帯状疱疹ワクチンに関してまとめてみました。


帯状疱疹ワクチン

50歳以上の方は不活化ワクチンであるシングリックスと弱毒生ワクチンである乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」が帯状疱疹予防ワクチンとして使用可能です。シングリックスは18歳以上で帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる方も接種可能です。シングリックスは2回接種が必要で、弱毒生ワクチンの接種回数は1回です。令和8年度(令和8年4月2日から令和9年4月1日)に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳になられる方は費用助成対象者に該当し、熊本市在住の方はシングリックス:11,000円×2回、弱毒生ワクチン:4,950円で接種が受けられます。

 

2つのワクチンの大まかな違いです。





 

全体として 90%以上                 

帯状疱疹発症予防効果               

 50歳代 96.6% (観察期間3.6年)

 60歳代 97.4%(観察期間3.6年)

 70歳代 90.0%(観察期間3.9年)

 80歳以上 89.1%(観察期間3.9年)

神経痛予防効果                           

 50歳以上 100%(観察期間4.1年)

 70歳以上 85.5%(観察期間3.9年)


従来、不活化ワクチンは液性免疫(抗体)を誘導しても細胞性免疫(キラーT細胞などの免疫細胞が、ウイルスに感染した細胞を直接攻撃して退治する仕組み)を誘導する力は弱いと考えられていました。帯状疱疹の予防には細胞性免疫が重要な働きをします。シングリックスは、AS01Bというアジュバント(免疫賦活剤)を有し、液性免疫だけでなく、これまで難しかった細胞性免疫も強力に誘導し、高い帯状疱疹予防効果を発揮します。




弱毒生ワクチンの詳しい解説

アメリカでのデータ(2017, 2019)


②   80歳以上の高齢者においても、若い年齢層の接種者と変わりのない帯状疱疹発症予防効果及び帯状疱疹後神経痛発症予防効果が確認された。

③   接種時に免疫機能が低下していた人(全体の5%以上)であっても、免疫が正常な人と同等の帯状疱疹発症予防効果及び帯状疱疹後神経痛発症予防効果が得られことが確認された。

 

国内でのデータ



生ワクチンはウイルスそのものを感染させますので、強い液性免疫並びに細胞性免疫が誘導されます。ヒト由来のウイルスを弱毒化(ヒト以外の細胞で継代培養することでヒトで増殖する力を弱くして毒性を低くしたもの)したウイルスを使用します。そのため、弱毒化していても、免疫力や抵抗力のない人では水痘を発症するリスクがあります。具体的には、未寛解状態の血液がん患者、固形がんで化学療法中または施行後3ヶ月以内の患者、プレドニゾロン等副腎皮質ステロイド薬、シクロスポリン・タクロリムス・アザチオプリン等免疫抑制薬を使用中の患者やHIV患者、妊娠中の人は使用できません。


まとめ(私見)

不活化ワクチン:シングリックスは費用が高くなりますが、予防効果も強いと思われます。接種時の副反応も弱毒生ワクチンより幾分か強い様です。ワクチンにはアジュバンド(免疫の効果を高める賦活剤)が含まれており、全身の免疫システムを強力に刺激・誘導するため効果が得られます。一過性にしろ、この全身の免疫システムの刺激・誘導を不安に思われる方には他の選択にも検討されてください。


弱毒生ワクチン:効果及び効果持続はシングリックスに及びませんが接種時の副反応は少ないと思われます。アジュバンドを含んでいず、水痘帯状疱疹ウイルスのみの免疫応答が誘導されます。生ワクチンですので体力の低下した方やプレドニゾロン等副腎皮質ステロイド剤、シクロスポリン・タクロリムス・アザチオプリン等免疫抑制剤を使用中の人、妊娠中の人は使用できません。このワクチンを選択された方は8年後以降に2回目の接種も視野に入れておかれる方がいいかと思われます。公的な定期接種等において助成金がカバーするのは生ワクチンの場合は1回接種のみでのので2回目は任意接種(全額自己負担)になります。また2回目の接種によりどれだけの効果があり、それがどれだけ持続するかの医学的データ(エビデンス)はありませんので根拠を持ってお薦めできるわけではありませんが、一般的に言って1回目より2回目の方が効果は増強される傾向はある様です。

 

どちらも選択しないという選択;不活化ワクチン・乾燥弱毒生水痘ワクチン共に長所短所があり、どちらも選択しないという選択もあります。その場合、帯状疱疹に罹るリスクは高まりますが、皮膚にピリピリを感じた時点(その場合はまだ皮疹は生じていないこともありますが)で医療機関を受診され、診断が付き次第速やかに抗ウイルス薬を開始でればその分症状が軽くなります。帯状疱疹の水疱が1個でもあれば迅速キットで直ぐに診断できます(当院ではマルホ株式会社のデルマクイック®️VZVを使用)。また、定期接種の年齢に拘らず適切な状態の時に接種されてもいいと思われます。いつでもご気軽にご相談頂ければと存じます。


最後まで、読んでいただきありがとうございました。


同時にアップしました帯状疱疹についても見ていただければと思います。



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